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アンソニー・ホプキンスとご飯を食べる妄想短編小説です(食べていません

 難しい手術だった、と後になって聞きました。私の鳩尾から臍まで長い傷跡が残っております。看護師から、経過は非常に良好で、すぐ帰宅できると伝えられていたにも関わらず、私は隔離病棟の個室へ移されました。いえ、感染するような病気ではありません。毎食後には院長による診察を受けました。執刀も担当医でなく院長が行ったそうです。常にマスク姿で目元しか見えず、白衣から覗くシャツとネクタイは黒でした。病院であるのにその色を選ぶとは変わった方だと思っておりました。病室には院長しか現れません。ナースコールで看護師を呼んでも、です。
 当初の予定より3ヶ月ほど入院は延びました。そして退院の日、荷物を整理していた時です。店を予約したので食事でもどうだろうか、明日夜8時に貴女の家へ迎えの車を行かせると告げられ、困惑しました。何故、私と?
 食事と診察の際に会話を交わす事はありました。とは言え、院長が短い質問を投げかけ、私の返事に頷くだけのものです。最初は他愛のない話でした。それはいつしか、家族構成、子供時代、果ては、短すぎた結婚生活の終焉にまで及びました。見舞いもなく退屈で、院長との会話が唯一の楽しみになっていた事も確かです。誰にも明かさずにいた秘密を話してしまったのは、それ故もあるでしょう。

 当日の時間丁度にチャイムが鳴りました。朝から準備に追われていた私は……長い入院生活で髪は酷く伸びておりましたし、年配の方との食事に相応しい洋服を選ばねばなりませんでしたので……車に乗り込んだ瞬間、緊張感に襲われました。院長の事を何も知らない、と気づいたのです。呼吸を整えているうち、ロンドンで最も古いレストランに到着しました。
 店の前に院長が立っていました。外で迎えてくださるとは予想だにしておりませんでした。コーヒーブラウンの地にクリムゾンレッドのピンストライプが施されたスリーピース・スーツ、シックな赤のネクタイを締めていらっしゃいます。運転手が降りかけると手で制し、二言三言、何かを伝えておられました。そして自ら後部座席のドアを開け、にこやかに私へ手を差し伸べます。初めて見る笑顔の意外な優しさに戸惑い、少しふらついた私の身体を労るように、院長が支えてくださいました。香水の香りが僅かに漂います。
 店は赤を基調とした内装で、壁一面に古い写真や絵画、大小様々な種類の剥製が飾られていました。多少混んだ客席のあちらこちらから話し声が聞こえる中、店の人に案内されながら歩いて行きます。
 不意に、案内係が一礼し場を離れました。そこは店の一番奥でした。大きな絵が掛けられた、一見壁と間違えそうな扉があります。院長は人差し指を口に当て、静かに、と私に合図しつつ、反対の手で扉を二度ノックします。一拍置いてもう一度。すると鍵を開ける音がし、扉が開きました。薄暗い廊下が伸び、壁には古いものから比較的新しく見えるものまで、沢山の人物写真が飾られています。少し行くと突き当たり、紺のカーテンが現れました。院長は、私に何かを期待しているような、或いは試すような笑みを浮かべています。そして端に下がっている金のタッセルを引くと、カーテンは静かに左右へ開きました。

 そこは全ての調度品が黒で統一された小部屋でした。中央に置かれたテーブルの上で、蝋燭の光が揺らぎます。テーブルクロスも壁紙も絨毯もカーテンも……廊下側は紺であったのに部屋側は黒いベルベットで……それぞれ全くの異素材であるのにも関わらず、完全に「同じ黒」でした。初めての光景に驚き思わず息を呑むと、院長は楽しげに笑い出しました。私を席へ案内してくださいます。こんな場所があるとは、そして院長が声を上げて笑うとは、想像も出来ませんでした。
 院長は店の人と何かを話しています。予約の段階で食事内容は決まっていたのでしょう。私が何を食べたいのかなどは一切聞かれません。蝋燭の光が揺れるたび、テーブルクロスの織り目が浮き上がり、また、沈んでいきます。
 店の人が下がると、院長はスーツの胸辺りをパッと手で払い、少しネクタイを緩めました。徐々に「今まで見てきた院長の顔」へと戻り、静かに私を見据えています。この眼差しは知っている、けれど、今夜は一度も見ていませんでした。今までの顔と今夜の顔、どちらが本当の院長なのでしょう。何故、何も言ってくださらないのでしょう。私から言葉を発する事も出来ず、院長から目を離す事も出来ず、膝の上のナプキンを握り締めました。
 私の緊張を見抜いたように、院長はふっと表情を和らげます。偶然にもその刹那、揺らめいた光が顔を照らし、「今夜の院長」が現れました。

「さて、……メインはラムで良かったかね?」

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アンソニー・ホプキンスが2006年に出たCM動画を見つけたのですが、



早口で、ちょっと何の話をしているのかわかんないです……。銀行のCMですかね。
コメントの一番上、最後何を言ってるかわからないって書いている人いますね。
しかし、アンソニー・ホプキンスのおでこにちゅー、わたしもしたいですよ
したいですよ
そしてちゃんとシートベルトしててかわいいですよ
おじいちゃんはなにをやってもかわいいからいいなあ


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おじいちゃんは心が強いよ!『ハイネケン 誘拐の代償』/アンソニー・ホプキンス

丸の内TOEI スクリーン2 I列15で鑑賞。もう少し前でもいいかな。
お話は、誘拐犯5人組のほうがメインでホプキンスは脇役ってかんじですね。

本編では映像が暗いのと動きが速くてあまりよくわからなかった誘拐の瞬間。

おじいちゃんは心が強いよ!『ハイネケン 誘拐の代償』/アンソニー・ホプキンス
なになに? なんか騒がしい?

おじいちゃんは心が強いよ!『ハイネケン 誘拐の代償』/アンソニー・ホプキンス
わーやめてー


殴られたりしたら嫌だな〜って思っていたんですよ、おじいちゃんが痛い目とか酷い目に遭うの、見ていてつらいからね! そうしたら、誘拐されて来た瞬間から「あれとこれ欲しいのじゃ、あと出来れば電話かけさせて欲しいのじゃ」と余裕かましてて、犯人、予想外。予想外すぎて戸惑いを隠し切れない。そりゃそうです。
ハムサンドもいいけど、中華料理もいいのじゃよ、というわけでエビチリよろしくね」とか言っちゃって、しかも犯人すなおにそれに従っちゃって。

おじいちゃんは心が強いよ!『ハイネケン 誘拐の代償』/アンソニー・ホプキンス
本ももらえました。

これたぶん、たぶんだけどさ、下手に暴れたり抵抗しても無駄というのがわかっていたからじゃないかなーと、誘拐には目的があるし、身代金目的というのもだいたいすぐ想像できるだろうと、そしたらへんに刺激しすぎず、ちょっと余裕見せておいたほうが、自分の身が危なくないと思ったんじゃないかな〜。


これは、犯人が、マスコミに流すために人質が新聞持ってる写真を撮ろうとしたとき、「髪の毛とかしたいからブラシちょうだい」って言っちゃったら、犯人「……だめだまったくおびえていない……」ってなって、ホプキンスの髪の毛をぐしゃぐしゃ! ってするんですね、ホプキンスがビックリしたところを激写、という流れ。さすがに言い過ぎたよおじいちゃん。

おじいちゃんは心が強いよ!『ハイネケン 誘拐の代償』/アンソニー・ホプキンス
あれ、このショットは本編にはないかな? 


最後まで、一緒に誘拐された運転手の心配してるホプキンス。殺されるなら自分より運転手が先だから、って。警察が乗り込んできたときも、「わしは元気じゃ、それより運転手!」って。

ホプキンスが犯人に「リッチになるには2つある、大金を持つか、大勢の友人を持つかだ、両方はむり。」て言うのね。これもさ、ほんとにそう、思っていて言ったことなのだったら、ホプキンス、というかハイネケンは、後者は手に入れられない人生だったのかな、って思うよね。

ハイネケンの人となりについては誘拐前、解放後、両方とも描写されないのね。誘拐されている間のことしかわかんない。誘拐されているあいだも、自分と運転手の身を守るために「演技」していたのかもしれないし、わからないんだなー。

「ハイネケン 誘拐の代償」アンソニー・ホプキンスのおじいちゃんポイント
  • 食えない度:星星星星星
  • 動かない度:星星星星星
  • ねぐせ度:星星星星
photo
誘拐 狙われたハイネケン [DVD]
アメイジングD.C. 2012-12-04

by G-Tools , 2015/06/16

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